-1-
1.調査全体概要
(1)総合都市交通体系とは
「つくば市の将来像やまちづくり方針の実現に向けて,交通に関して今後取り組むべき方向性」
・ 最新の交通手段分担の動向と変化等を見据えた中で,平成15年度に策定された「つくば総合都市交 通体系」をはじめ,これまでの施策を見直し,今後展開をしていく方向性について検討した。 ・ 目標年次:平成 42 年(概ね 20 年後)
※短期(概ね5年内)・中期(概ね 10 年内)・長期(概ね 20 年内)に展開すべき方向性も検討。 ・ 検討対象地域:つくば市全域
(2)目的
「つくばエクスプレスの開業による交通行動の変化を踏まえた都市交通体系の見直しが必要」
○上位計画や関連計画との整合・新たなまちづくりの方針への対応
・ つくばエクスプレス開業以後,平成15年度に策定された「つくば総合都市交通体系」に基づき各種 交通施策が実施されているほか,つくばエクスプレス沿線のまちづくりが進められている。
・ また,「新たなつくばのグランドデザイン」が策定され,これまでのつくばセンター地区と研究学園 駅周辺をあわせて,市の中心部として位置づけ,各種まちづくりに関する施策を進めることとなっ ているほか,低炭素なまちづくりを推進するための「つくば環境スタイル」など各種計画が策定さ れ,整合を図りながら施策を展開していくことが求められている。
○社会経済情勢や新たな交通施設整備を踏まえた最新の交通データに基づく見直し
・ 平成20年度に「東京都市圏パーソントリップ調査」が実施され,平成22年度には現況交通量デー タや都市圏の将来交通需要の予測値が公表された。これまでの検討においては,つくばエクスプレ スの開業以前のデータに基づく検討であるため,開業に伴う市民及び来訪者等の交通行動の変化の 実態や影響・効果等が把握できていなかった。
・ そこで,最新データによる現況把握,及び課題 整理に基づき,つくばエクスプレス開業に伴う 交通行動の変化に対応した「つくば総合都市交 通体系」の見直しが必要となっている。
(3)調査全体概要
○右図のフローに基づき,調査を実施した。 <現況交通課題の整理・分析>
・ 平成20年東京都市圏パーソントリップ調査等に 基づき,つくばエクスプレス開業による交通行動 の変化等を把握し,また,「つくば総合都市交通 体系」に位置づけられた施策の進捗状況を評価の 上,現況交通課題を整理・分析し,交通体系見直 しの必要性について検討した。
<都市交通体系のあり方・対応すべき方向性> ・ 将来人口フレームを検討のうえ,将来交通需要を
予測した。また,上位計画等における都市交通の 位置づけを整理のうえ,予測結果を踏まえながら, 将来対応すべき方向性を検討した。
<都市交通施策の検討>
・ 方向性に基づき交通手段別に今後20年間で取り 組むべき施策を,実施時期別に検討した。 <施策の目標・推進について>
・ 総合都市交通体系としての目標を設定し,施策の 推進に向けて実施すべき事項等を整理した。
つ
つ
く
く
ば
ば
総
総
合
合
都
都
市
市
交
交
通
通
体
体
系
系
調
調
査
査
報
報
告
告
書
書
~
~
概
概
要
要
版
版
~
~
都市交通施策の検討
都市交通体系のあり方・対応すべき方向性
○つくば総合交通体系調査 策定後の施策の実施状況と 効果の検討
・施策実施状況評価 ・施策実施による 効果等の把握 ○ つくば市及び隣接市に
おける交通特性の現況集計・ ・現況データ集計
(交通実態・社会経済指標)
○将来交通 需要の予測 ・交通需要推計
○現況分析と 現況課題の整理
・平成20年パ ーソントリ ップ調査に基づく現況分析 ・現況交通課題の整理と 対応方針の検討
○将来都市像の検討
・将来人口フレーム,将来都市像の検討
○都市交通施策検討の視点の設定 ・上位計画・関連計画と の整合 ・将来都市交通体系のあり方 ・都市交通施策検討の視点
○都市交通施策の方向性 ・交通手段別の需要動向 ・交通手段別の課題、対応方向性 現況交通課題の整理・分析
○都市交通施策の方向性 〈ハード・ソフト〉
・公共交通施策(鉄道・鉄道端末・バ ス) ・自動車交通施策(道路整備・TDM施策等を含む) ・自転車交通施策
・その他交通施策
施策の目標・推進について
○施策実施による効果・目標 ・都市交通施策の検討の視点別の目標の設定
○施策の推進に向けて
-2-
2.現況交通課題の整理・分析
(1)つくば市内の交通行動特性
○市内発着交通量は人口動向以上に増加(H20/H10:1.23 倍)
○特に,鉄道利用が大幅に増加(H20/H10:2.46 倍)
○しかしながら,依然として自動車への依存傾向が強い(H20 自動車分担率 64%)
○人口動向以上の交通量の増加
・ 市内交通量は内々・内外・外内ともに2割以上増加し,特に市内間移動の増加率が高くなっている。 ・ 人口増加率がここ10年間で1.11倍に対して,総交通量は1.23倍と人口動向以上に増加している。 ・ また,交通手段別にみると特に鉄道利用が大幅に増加し,ここ10年間で2.46倍に達している。
※単位:千トリップ ※()内はH20/H10
つくば市
外内
内外 内々
144 (1.20)
145 (1.20) 376
(1.24)
26
64 576
659 115
141 106
135 1
2
9 13
16
12 15
0
0 200 400 600 800 1,000 1,200
H10 H2 0 鉄道 バス 自動車 自動二輪 自転車 徒歩 その他 不明 単位:千トリップエン ド
8 4 8
1 , 0 4 0
2.46倍 1.14倍 1.23倍
図
市内総トリップ数
図
市内代表交通手段別発生集中量
注)各年「東京都市圏パーソントリップ調査」に基づき作成。
○自動車分担率は下がったものの依然として高い水準
・ つくばエクスプレスの開業に伴い,鉄道分担率が3ポイント上昇している。
・ 自動車分担率は4ポイント低下している。しかしながら,依然として6割以上が自動車利用となっ ており,自動車への依存度が高いといえる。
3 %
6%
6 8 %
6 4 %
1 4%
1 4%
1 2%
1 3% 1 .0 %
1.2 %
2 %
1%
0% 20 % 4 0% 60 % 80 % 1 00 %
H 10
H 20
鉄道 バス 自動車 自動二輪 自転車 徒歩
図
つくば市発着トリップの代表交通手段分担率
注)各年「東京都市圏パーソントリップ調査」に基づき作成。 総トリップ数:665千トリップ(1.23 倍)
(参考)人口増加率(H20/H10):1.11 倍
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(2)平成 15 年度「つくば総合都市交通体系調査」における交通施策の実施状況
○各施策については「モビリティーセンター」を除き概ね実施済み。
○ただし,バス事業における路線バスの撤退,パーク&ライド・サイクル&ライドにおける需
要と供給との乖離が見られるなど課題が発生している。
→
新たな課題へ対応するための交通体系の見直しが必要。
施策 位置づけられた施策・実現化を図る事項 実施状況 道路網整備 ・整備計画に基づく整備の推進
・課題のある地区における道路混雑解消策 の実施
・葛城地区内の一部区間,国道354号バイパス を除き概ね整備済み。
・その他課題のある地区についても概ね対応を 実施済み。
バス事業 路線バス ・周辺市町村主要市街地やJR常磐線,関 東鉄道常総線の駅との接続
・ つくば エクス プレス 開業にあ わせて再編 済 み。ただし,廃止減便路線もみられ,特に周 辺市町村市街地との連携路線に多い。 コミュニ
ティバス
・路線バスを補完し,つくばエクスプレス の端末交通利便性を確保
・平成18年4月よりコミュニティバスを運行 開始,以後平成23年に再編を実施。 パーク&
ライド
葛城地区 ・つくば駅需要を含めた駅遠隔地からの利 用に集約的に対応
・つくばエクスプレス開業にあわせて駐車場を 整備,ただし,つくば駅需要を担い切れてい ない。
その他 地区
・各駅のパーク&ライド需要に効率的に対 応
・つくばエクスプレス開業にあわせて駐車場を
整備,ただし公営駐車場は利用が低迷。 自転車 駐輪場 ・鉄道端末の自転車利用集中へ対応するた
め,駐輪場を整備
・つくばエクスプレス開業にあわせて駐輪場を
整備,つくば駅においては供給台数と同等の 需要が見られる
モビリティーセンター (まちづくりセンター)
・まちづくり情報とともに交通関連情報, 施設運営,管理を行い,早期に都市の利 便性を高める。
・未実施。
ITS 交通関連 情報発信
・ITS導入の一環として交通関連情報発 信を行う。
・平成22年つくば駅の駅前広場再整備にあわ せて,バス・鉄道案内情報板を設置。
(3)現況交通課題の整理
○以下に示す3つの課題へ対応した総合的な交通体系の策定が必要。
①つくばエクスプレス開業による交通への影響・想定需要との乖離への対応
・ つくばエクスプレスの開業に伴う影響を踏まえつつ,想定需要との乖離を考慮し,需要に見合った 適切な交通施設整備計画を立案するための見直し作業が必要。
②上位計画・関連計画(個々の手段別計画)との間の整合・連携
・ 上位計画との整合を図りつつ,関連する個々の手段別計画(つくば市地域公共交通総合連携計画, 自転車のまちつくば行動計画等)と連携を図っていくことが必要。
・ 特に,各交通手段の役割に応じてそれぞれの特性・機能を活かせる部分に配置できるような連携方 策について検討が必要。
③高齢化・環境・防災等社会経済情勢の変化と動向に対応した交通体系の確立
・ 高齢化の進展によるモビリティ格差の発生,二酸化炭素排出量の削減等地球環境問題への対応,東 日本大震災をはじめ災害発生時における交通体系のあり方等をふくめ,社会経済情勢の変化を踏ま えつつ,新たに対応すべき課題への方向性を検討の上,総合的な交通体系として確立することが必 要。
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3.都市交通体系のあり方・対応すべき方向性
(1)将来都市像の検討(人口フレームの設定)
○つくば市の将来人口については,総合計画における将来推計人口(中位推計)を基本に設定。
○ただし,総合計画では将来的に
30
万人を目指すこととしているが,本検討においては人口定
着の実態及び社会情勢の変化を踏まえながら適宜調整を行い,以下の通りに推計した。
○特に,
沿線開発地区における人口定着等については,
短期的な交通需要に大きく影響を及ぼす
ことから,現状の人口定着を踏まえながら別途調整した。
→短期(平成 27 年)
:22.0 万人,中期(平成 32 年)24.4 万人,長期(平成 42 年)26.2 万人
○沿線開発地区の人口定着実態を踏まえた調整等
・ これまでの定着状況を踏まえながら地区ごとに推計し,短期(概ね5年後:平成27 年),中期(概 ね10年後:平成32年)の各地区人口を設定。長期(概ね20年後:平成42年)については,沿線 開発地区における事業の見直しがない限り,目標年次に人口定着が図られるものと仮定し推計。 ・ また,将来推計人口は住民基本台帳人口をベースとして推計されているが,常住人口と住民基本台
帳人口との差が大きいつくば市の特徴を踏まえ,特に学生宿舎や公務員住宅等が立地している地域 については常住人口との差分を調整した。
市全域
2 9 6 . 1
2 4 4 . 2 2 2 0 . 2
2 0 0 . 4
2 6 2 . 4
0 .0 5 0 .0 10 0 .0 15 0 .0 20 0 .0 25 0 .0 30 0 .0 35 0 .0
H 2 0 H 2 7 (短期)
H 32 (中期)
H 4 2 ( 長期)
H 32 (前回推計) (単位: 千人)
1 . 1 2
1 . 3 1 1 . 2 2
0 500 0 1 000 0 1 500 0 2 000 0 2 500 0 3 000 0
葛 城地 区 約 22 .8千人
萱 丸地 区 約 15 .6千人
島 名・福 田 坪地 区 約 14 .3千人
上 河 原崎 ・中西 地区 約 3.9千 人
中 根・金 田 台地 区 約1 .8 千人 単位 :人
葛城 地 区 2 5,00 0人
萱丸 地 区 2 1,00 0人
島 名・ 福田 坪 地区 15 ,000 人
上河 原崎 ・中西 地区 1 1,00 0人 中 根・ 金田 台 地区
8 ,0 00 人 葛城 地 区
約8 .2千 人
萱 丸地 区 約 3.3千 人 島 名・ 福田 坪地 区
約3 .4千 人
短期 :H 2 7 中期 :H 32 長 期: H 42
図 市全域の人口推移 図 沿線開発地区における設定人口
(2)都市交通体系の位置づけ・施策検討の視点
○本総合都市交通体系は,
上位計画との整合,
関連計画との連携を図りながら,つくば市として
の交通に関する基本方針と重点的な方向性を定め,個別計画に反映(連携)させる。
○つくば市の将来像,まちづくり方針を踏まえながら,交通施策検討の視点を3つを設定。
○また,
近年の新たな関連計画の位置づけを踏まえ,総合都市交通体系の全体目標として
「誰も
が円滑に移動できる環境を目指して」を設定した。
■計画の位置づけ ■都市交通施策検討の視点と全体目標
「安全・ 安心・ 快適」 な移動の
実現
「に ぎわい ・ 活力」 の増進 「環境」 負荷の 軽減
人
と
自
然
と
科
学
が
調
和
し
,
安
ら
ぎ
と
活
力
に
満
ち
た
”
健
康
で
健
全
な
ま
ち
・
つ
く
ば
”
の
創
造
つくば市 の将来 像
都市 計画マスター プ ランにおける ま ちづくり方 針
① 豊か な自然 ・農村 と 都 市が 共存 したま ち
快適の創造
②自 然・歴 史・地 域文 化・ 先端 技術を いか した 産業 を創造 する まち
③ 人・文 化・情 報の 交流 連 携によ り世 界 と 結ば れるま ち
④ 多様 な人々 の コ ミュ ニテ ィと 市民 参 加を育 むま ち
⑤人 に優 しく安心 して 住み 続け られ るま ち
都市交通施策の 検討 視点
活力の創造
環境の創造
安全の創造
安心の創造
安定の創造
育みの創造
自律の創造
新たな都市交通体系の確立
~誰もが円滑に移動できる環境を目指して~
グランドデザイン等 新たな まちづく りの方針
環境スタイル(CO5 0%削減) 等 今後目指すべき目標
2
都市交通の目標 国・県との交通計画
その他関連既計画
つくば市基本構想 (後期基 本計画)
つくば市都市 計画 マスター
プラン
【関連計画】 ・環境基本計画
・つくば環境スタイル(行動計画) ・新庁舎建設に伴う 現庁舎等利活用方針 ・つくば市学校等適正配置計画
など
「 つくば総 合都市 交通体系」
連 携 新た なつくばの
グランドデ ザイン
交 通に係 る個別計画
つくば市地域 公共交通 総合連携計画
自転車のまち つくば
(基本 ・行 動計 画 ) など
既 存事業・ 施策 の反映
追加施策の 提案・充実
-5-
(3)将来交通需要の予測
○市全域における総交通需要は,長期(平成 42 年)で 24%の増加。なお,長期における人口増
加率は
31%であり,人口増加ほどに交通需要は伸びない。また,前回の交通体系推計値ほど
の増加は見込まれない。
○依然として自動車依存傾向が強く,自動車分担率が現況以上となる見込み。
○鉄道需要・自動車需要は増加傾向が続き,バス需要は短期・中期的には落ち込むものの長期的
には大幅増加となる。
○総交通需要の見通し
・ 短期(平成 27 年)では 13%増加,中期(平成 32 年)では 22%増加,長期(平成 42 年)では 24% の増加となる。なお,長期における人口増加率は 31%であり,人口増加ほどに交通需要は伸びない。 また,前回の交通体系推計値ほどの増加は見込まれない。
8 4 . 84
9 8 .86
1 1 1 .9 9
1 2 0 .6 9 1 2 2 .7 9 1 4 1 .6 2
0 50 100 150 200
H10 H20 H27
(短期) H32
(中期) H42
(長期) H32
(前回推計)
市全域
(単位:万トリップエンド)
1 . 1 3
1 . 2 4
1 .2 2
図
市全域における総交通需要の推計結果
図
長期(平成 42 年)の移動区間別交通量
注)数字は平成20年に対する伸び率を示す。
○交通手段分担・手段別交通量
・ 依然として自動車依存傾向が強く,自動車分担率が現況以上の水準で推移するものと予測された。 特に,短期(平成 27 年),中期(平成 32 年)においては自動車分担率が 68%と高い。
・ 鉄道需要は短期で微増,中期,長期で増加となる。これに伴い特につくば駅以外の3駅においては 長期的に利用者数が大幅に増加するものと予測される。
・ バス需要(鉄道端末バスを含む)は短期・中期では減少するものの,長期的には高齢化の進展や沿 線開発地区における人口定着が進み増加するものと予測。
・ 自動車需要は継続的に増加傾向となるが,前回総合都市交通体系における推計値を下回ると予測。
6 %
4 %
4 %
5 %
6 3 .8 %
6 9 .1 %
6 8 .8 %
6 5 .8 %
1 %
1 %
1 %
1 % 1 4 %
1 0 %
1 0 %
1 2 % 1 3 %
1 6 %
1 6 %
1 4 %
1 % 1 % 1 %
2 %
0 % 2 0 % 4 0 % 6 0 % 8 0 % 1 0 0 %
H2 0
H 2 7 ( 短期)
H 3 2 ( 中期)
H 4 2 ( 長期)
鉄道 バス 自動車 自動二輪 自転車 徒歩
6 . 2
2 . 6
6 4 . 2
6 . 1
2 . 4
7 7 . 0
6 . 7
2 . 6
8 4 . 7
6 . 6
3 . 7
8 3 . 5
5 . 9
0 . 9
8 6 . 0
0 .0 10 .0 20 .0 30 .0 40 .0 50 .0 60 .0 70 .0 80 .0 90 .0 100 .0
鉄道 バス 自動車
H2 0 H2 7 (短期) H3 2( 中期) H4 2( 長期) H3 2( 前回推計)
単位: 万トリップエンド
( H42 /H 20 )
1 . 0 7
(H4 2/ H2 0)
1 . 4 0
(H4 2/ H2 0)
1 . 3 0
図 市全域における代表交通手段分担率の推計結果 図 鉄道・バス・自動車の交通量の推計結果
※単位: 千トリップ ※( )内はH 42 /H 20
つ く ば 市
外 内
内 外 内 々
1 5 9 (1 . 1 0)
1 6 0 (1 . 1 1) 4 8 6
(1 . 2 9)
総トリップ数:666千トリップ(1.24 倍) (参考)人口増加率(H42/H20):1.31 倍
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4.都市交通施策の検討
(1)都市交通施策の設定
○交通体系全体の目標である「誰もが円滑に移動できる環境を目指して」に向け,つくば市に
鉄道
・市内各地で鉄道需要が大幅増加 ・特に,東京・千葉方面への需要が増加
・研究学園駅周辺は「新たなつくばのグラン ドデザイン」において副都心としての位置 づけ
・前回推計よりも鉄道利用が増加
・短期は市全体では横ばいだが,大穂地区や豊里地区, 谷田部地区(東)で増加
・沿線開発地区での需要は短期は横ばい,長期は各地区 ともに大幅増加
⇒需要の多い東京方面への利便性向上
・研究学園駅,みどりの駅では長期的に増加傾向
⇒つくば市の副都心と しての拠点性・ 集客性の向上
P&R
鉄道端末
自動車
・つくば駅への端末自動車の集中
・その他3駅のパーク&ライド利用が予測に 対して少ない
・依然としてつくば駅へ自動車が集中 ・研究学園駅,万博記念公園駅では減少と予測 ・みどりの駅は短期は微減,長期は横ばい
⇒つくば駅への端末自動車集中の 是正と研究学園駅への
誘導(他駅の 利用促進)
C&R
鉄道端末
自転車
・つくば駅では想定駐輪需要とほぼ同等 ・その他3駅の自転車駐輪場利用台数が予測
に対して非常に少ない
・つくば駅は引き続き増加と予測 ・研究学園駅は横ばいから微増傾向
・研究学園駅,みどりの駅は短期は倍増と予測
⇒増加する駐輪需要への対応
バス
・バス利用者数の増加,分担率の上昇 ・一方で一部路線では廃止・減便の動き
・研究学園駅や万博記念公園駅ではバス利用 が少ない
・現在のネットワークは沿線開発地区はカ バーできていない
・自動車分担率が非常に高い
・バスを利用しない理由として「運行本数」 や「時間帯」に関する指摘が多い
・市全体では短期は減少,長期は増加と予測
⇒減少が見込まれるバスの維持・確保
⇒早急なバス対策の取り組みが必要
・沿線開発地区では短期は葛城地区で需要が顕在化,長期 は全ての地区でバス需要が急増
・前回推計結果は過小推計
⇒沿線開発地区における二次交通手段の確保
⇒今後の開発動向を踏まえたバス対策の必要性
・依然として自動車利用が多く,短期で自動車利用が19% 増加
⇒自動車からの転換受け皿となる利便性の高い公共交通の
構築
自動車
・局所的な渋滞が発生
・幹線道路に限らず市内全域で交通事故が発 生
・分担率が6 4%と高く,特に市内移動で7割を 超える
・短距離自動車利用の増加
・ピーク時間帯は減少しているが,昼間時間 帯での自動車交通量が増加
・沿線開発地区において長期は自動車交通量が増加 ・なお,前回推計結果ほどの交通量は見込まれない
⇒前回道路網計画の着実な整備推進( 特に開発関連道路)
・分担率が非常に高く(長期66%),市民生活の重要な足 ・一方で,二酸化炭素排出量の減少目標に対して,自動車
交通量が大幅増加と予測
⇒地球環境問題への対応強化
自転車
・自転車需要が継続して増加 ・短期は大穂地区,豊里地区,谷田部地区(西),茎崎地
区で増加
・沿線開発地区のうち,葛城地区,萱丸地区で短期の自転 車需要が増加
⇒沿線開発地区周辺での需要増への対応
徒歩
・特に駅周辺の地区を中心に徒歩需要が増加 傾向
・外国人来訪客の増加と特区
・全ての地区で徒歩需要が増加
・特に駅周辺の地区で,鉄道端末徒歩が増加 ・高齢者トリップは全ての交通手段で増加
⇒利用しやすい交通手段,移動しやすいまちづくりが必要
交通 手段
現状の問題点・課題 将来需要動向と計画課題
(2)土地利用施策の必要性
○都市交通施策の実施に限らず,
計画全体目標の達成等に向けては,
沿線開発地区における人口
○ 総合都市交通体系においては,都市交通施策に限らず,以下に示す土地利用施策と連携・調整を図 ・TX沿線開発地区の整備推進(人口定着の推進) ・歩いて暮らせるまちづくりの推進(コンパク
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おいて実施すべき交通施策を下記の通りに設定。
施策の方向性
① つ く ば エ ク ス プ レ ス の 東京 駅 方 面 へ の延 伸 等 輸 送 力 増 強 ・需要 も多 く増加が見込まれる東 京方面への鉄道利 便性の向 上
・増加 する需要へ対応 するため、編成数の増強や守谷 以北の区間における増便等による対 応
② 研 究 学 園 駅 への 快 速 停 車
・つくば市の副 都心としての拠点性・集 客性の向上 ・通勤 ・通学需要対 応として の朝夕 のみの停車も考え られる
③ シ ー ム レ ス な 乗 継 ぎ の 実現 に 向 け た ター ミ ナ ル の 整 備
・つくば駅の駅ビル設置 ,総合的な情報 案内システムの導入,鉄道 ・バスのダイヤ連携と各 手段の降車場所での案 内 表示
④ パ ー ク ア ン ド ラ イ ド 需要 に 対 応 し た 駐車 場 の 継 続 活 用
・つくば駅から の端 末自動車需要 の分散 化を図るための仕組み構築と研究 学園駅における公営駐車場の継続 活用 (つくば駅から の誘導分 を受けるためには、約25 0台分の駐車施設が必要)
・沿線 開発地区の人口定着状況 に応 じた駐 車場の整 備 ⑤ サ イ ク ル & ラ イ ド需 要 に 対 応 し た 自 転車 駐 車 場 の 追 加整 備
・増加 傾向にある端末自転車 需要への対応(自転 車駐車場整備 等)
(つくば駅において短期的に増加が予測される約600 台分の駐輪需要をまかな う施設整備) ・駐輪 需要集中の是正に向けた仕組みづくり等
鉄
道
交
通
施
策
⑭ ル ー ル ・マ ナ ー 啓 発 の 強化 ・ ⑮ 自 転 車ネ ッ ト ワ ー ク の整 備 ・ ⑯ 自 転 車が 使 い や す い環 境 整 備 ・ 増加傾向の自転車 需要に対応 した安 全で快適 な利用環境 の整備 (意識啓発 とルールづくり(条 例化検討等) ) ・ 整備計画に基づく自転 車道の整備 推進
・ 自転車を使いや すい体制 ・施設整備
・ 他手段との連携を強化す るためのサイクル&バスライド等の推進
⑰ バ リ ア フ リ ー化 の 推 進
・誰もが移動しやすい環 境整備(歩 行環境に限らず全 手段での対応)
⑱ 国 際 化 に 対 応し た ユ ニ バ ー サ ルデ ザ イ ン の 推 進 ・情報提供 の充 実をはじめとした環境整 備
⑥ 公 共 交 通 ネ ッ ト ワ ー ク の整 備 ・ 拡 充
( 路 線 バ ス ・ コ ミ バ ス ・乗 合 タ ク シ ー 等 )
・沿線 開発地区等の開発 動向,高齢化に対応したバス交通 の充実
・沿線 開発地区と最寄り駅とを結ぶ新規路 線の検 討(駅と他の地区を結ぶバスの経 由や循環系統の新設等) ・沿線 開発地区周辺 を運 行する路線のバス停増 設等
・隣接 市の各 駅へアクセスする路 線の維 持・ 強化と県内高 速バス路線網 の構築 ・高齢 化の視 点に対応した生 活交通の確保(生 活圏域に応じた交通手段の確保)
⑦ バ ス 利 用の 促 進
・バス需 要の顕在化 に向 けた利 便性の向上
・運行 頻度改善や各 種利用促進策( バスロケーショ ンシステムをはじめと した施策) の展 開
⑧ 道 路 網 計画 の 整 備 促 進
・ 既計画路線の着実 な整備推進と 新たに発生する局所 的道路混雑への対応( 交差点改良 や信号現示調 整等) ⑨ 自 動 車 利用 の 抑 制 ・ 他 手 段へ の 転 換 促 進
・ 戦略的なM M(モビリティ・マネジメント)の推進、自動 車運転免許返 納制度等とあわせた公共交 通の利用促進 ⑩ 高 速 道 路網 の 整 備 促 進・ ⑪ ス マ ー ト IC の 整 備 推 進
・ 広域的に円滑な流動を実現 するための圏 央道の整 備推進と アクセス性向上 に向けたスマートICの設置 ⑫ 環 境 に やさ し い 車 両 の 普及 促 進 ・ ⑬低公 害 車 の 普 及 促進 に 向 け た イ ン フ ラ整 備
・ 低公害車両の導入 促進やカーシェアリングの推進、モビリティロボット等の活用 ・ EV 充電設備等 インフラ整備の推進
鉄
道
端
末
施
策
バ
ス
交
通
施
策
自
動
車
交
通
施
策
自
転
車
交
通
施
策
そ
の
他
交
通
施
策
定着や歩いて暮らせるまちづくりの推進等が必要。
りながら施策を展開していくこととする。
トシティの形成) ・つくばセンター地区の活性化(既存ストックを活用した中心部の活性化推進)
都市交通施策の検討視点
安 全・ 安 心・ 快 適
環境
にぎわい・ 活力
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5.施策の目標・推進について
(1)施策展開の目標
○都市交通施策の実施による総合都市交通体系の目標として,
施策検討の視点別に次のとおりに
設定した。
表
本都市交通体系の目標
都市交通施策
の検討視点
評価指標
目標
現況
(平成 20 年)
将来(平成 42 年)
「安全・安心・
快適」
な移動の実現
【公共交通利用トリップ数】
・市内を発着する鉄道,
代表交通
手段バス,
鉄道端末バスの利用
者数
87.6
千トリップ/日
「環境」
負荷の軽減
【自動車による二酸化炭素排出量】
・
将来の公共交通利用の増分から
逆算して効果を算出
(公共交通施策を実施しなかった
場合は,
現況からの増加分が自
動車を利用すると想定)
・
あわせて自動車の燃費改善等の
効果も算出
-
【環境負荷の少ない手段分担率】
・
徒歩及び自転車の交通手段分担
率
29.6%
「にぎわい・
活力」
の増進
【中心地区における都市活動量】
・センター地区・研究学園地区を
発着する私事
・
業務目的の滞在
時間
43.1 百万
時間/年
※施策実施による効果の試算結果については,平成 42 年時点で平成 20 年比年間一人当たり 0.8t-CO2 の 削減が見込まれる。この施策は「つくば環境スタイル」における交通施策とも整合が図られている。
(2)施策の推進に向けて
○施策の推進に向けては次のような取り組みが必要。
・施策推進に向けた推進体制の確立,国・県・関係機関,関連検討組織との連携・協力体制の強化 ・施策の進捗管理・評価
・社会経済情勢を踏まえた施策の見直し ・情報提供や社会実験の実施等
現況比
20%
以上増加
一人当たり
35%
以上削減
現況
よりも
増加
現況比
20%
以上増加
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